2020年4月
医療安全管理と医薬品安全使用のための研修
2020年4月29日
【コロナ禍における研修体制】
本年4月の社内研修はコロナ感染症拡大により中止となり、文書のみによる通達研修となりました。
今年は2年に1回の診療報酬改定、薬機法改正とそれを受けて新設された調剤後薬剤指導度加算や吸入指導加算等々、皆で共有し話し合う行うべき議題が目白押しでしたが、コロナ感染拡大の影響はいかんともしがたく、通達や資料送付といった一方向のみの情報伝達となってしまいました。例年4月は全社員参加で行っており、昨年と同様に学術発表も計画していただけに残念至極です。
上記のように課題は山積しています。文書による通達の形をとらざるを得なかった分、担当者は一つ一つの資料を丁寧に詳しく作成いたしました。吸入指導加算や調剤後薬剤指導度加算といった新しい加算に対しましては5~6店舗のグループが集まりディスカッションを行い、その意見をまとめて全社に発信しました。吸入指導加算はそのスモールグループディスカッションの資料を受けて少しずつですが報告が上がってきています。吸入指導加算や調剤後薬剤指導度加算は治療効果や副作用の確認といった薬剤師の基本業務そのものであり、正しく行うことで患者の健康に貢献できる加算であります。全ての薬剤師が真剣に取り組んでいただきたいと思います。
下記が今回社員に発信された文書の抜粋となります。
◆社長挨拶
鈴木社長からは、社長挨拶として「新型コロナ、2020年4月報酬改定、会社の近況」の3つについて話がありました。
新型コロナ感染症に関しては、感染リスクによるストレスの中働いてくれている社員への感謝の念と、感染防止策や安心して働ける職場環境の整備など会社としての対応策が説明されました。コロナ感染が完全に落ち着くまでは数年かかると予想されています。安全管理責任者の私としましても、患者は勿論、従業員も守るという意識を持って対策を取っていきたいと思います。
報酬改定に関連しまして、今後ますます重点化される「かかりつけ薬局としての機能強化」と「対物から対人業務への転換」の二つへの対応を急ぐようにと指示がありました。薬機法の認定薬局においては、地域連携薬局を目指していくことも明言されました。
当社は本年4月から川口、久喜、坂戸、烏山、不二、スマイル、南浦和駅前の7店舗が新たな地域支援体制加算の所得店舗となっています。既に取得している店舗と合わせると、会社全体で合計 14 店舗(店舗の 70%)が地域支援を行える体制になりました。もともと「地域のための薬局」というのは当社の創業以来の信念であり、かかりつけ薬局と対人業務へと加速する時代のニーズへもスムーズに対応していけることと思います。
社長挨拶のまとめとして、これからの1年間の積極的に取り組むべき以下の3つの項目が示されました。
① 新設加算の積極的算定
新設された「服用薬剤調整支援料 2」「特定薬剤管理指導 2」「吸入指導加算」「調剤後 薬剤管理指導加算」「経管投薬支援料」は、かかりつけ機能の強化において非常に重要な加算であり、積極的に算定をしていく。
②「物から人へ」の対人業務への構造変換
対人業務中心へシフトするために0402通知で許された薬剤師でなくても行える業務は、速やかに薬剤師以外に移行させていく。
③ 薬歴の充実
対人業務が増え、仕事は年々複雑化してきているが、薬歴は手を抜かずしっかりと記載すること。各店責任者は所属薬剤師の薬歴記載に不備が無いか常に確認すること。
社員の皆さんにおかれましては、これらの課題に対して一つも疎かにすることなく真摯に取り組んで頂きたいと思います。
◆調剤過誤防止
安全管理部 堀内
令和1年10月~令和2年3月の半年間の調剤過との件数は例年よりも少なく、内容の大半はジェネリック医薬品を中心とする軽微な入力ミスや数量の間違いであり、幸いにして重大な調剤事故はありませんでした。コロナウィルス感染により落ち着かない環境の業務が続く中、各店気を付けて下さっていると思います。この調子でお願いいたします。
◆診療報酬改定対策1 吸入薬指導加算
安全管理部 堀内
吸入薬指導加算は服薬情報提供1と点数が同じであり、指導には時間がかかり内容も細かく、この加算を取る薬局側のメリットは少ないように見えますが、薬剤師の専門性と存在意義をアピール出来る非常に重要な点数であると思います。収益に繋がらなくても「吸入指導の担い手は我々薬剤師であるという意気込み」と、「吸入に関する患者のプロブレムを洗い出し、患者のコントロールを改善するという使命感」を持って積極的に算定していきたい点数です。
吸入指導を多く行う南浦和店を中心に4店舗が集まりディスカッションを行い、基本事項の確認と、業務の具体化、課題の抽出などを行いました。以下がそれを基に各店に送った通知内容の抜粋です。
①各店舗責任者は本加算を正しく理解し、積極的にこの吸入指導加算を算定していくこと。
②本加算の重要性と当社の姿勢を従業員へ周知徹底しておくこと。
③近隣医院への説明
吸入薬の処方を行う近隣医院には、本加算の重要性と指導をさせて頂く旨を伝え、了承を得ておくこと。
④店舗薬剤師への教育
単なるデバイスの説明が出来るというだけでは不十分である。COPD、喘息といった疾患を学習しておくこと。
⑤対応手順の周知徹底
指導が必要な患者の抽出、医師への連絡、実際の指導、報告書作成、次回以降のフォローアップなど一連の手順を滞りなく行えるように体制を整えること。
◆診療報酬改定対策2 調剤後薬剤管理指導
安全管理部 堀内
調剤後薬剤管理指導加算は改正薬機法とも密接に関係し、副作用防止の観点からも非常に重要な加算であります。これに対しても対象薬剤を多く取り扱う埼玉県店舗の責任者が集まりスモールグループディスカッションを行い、以下の方針を決定しました。
① 全店舗は本加算に対して積極的に取り組むこと。地域支援体制加算を算定していない店舗は本加算は算定出来ないが、薬機法で義務化された服用期間内の確認事項でもある。必要に応じて服薬情報提供等を用いて取り組むこと。
② 近隣に糖尿病薬を処方する医院がある場合は医師に本加算の重要性を説明し、取り組みの了解を得ておくこと。
③ 店舗従業員への教育と対応手順の周知徹底
上記の通り本加算は改正薬機法の対応事例となるため薬歴への記載など記録を正確に残すこと。
◆定薬剤管理指導加算1の指導と薬歴の充実について
安全管理部 堀内
特定薬剤管理指導加算1は、対象薬剤が高活性である上に、糖尿病や心筋梗塞、弁膜症、不整脈、心不全といった高齢者の疾患に用いる薬剤が多いといったいった特徴を持ちます。薬の副作用防止と、これら重要疾患の治療への寄与という点において、点数は10点と決して高くはありませんが非常に重要な加算であるといえます。各店に対して、半指導加算の算定をしている薬歴を見直し、指導不十分な薬歴がないよう薬歴の充実を図るよう通知が出されました。
◆薬歴の記入について
情報管理室 木村
薬歴担当の木村より正しい薬歴記入に関して、日常業務における留意点を詳細にまとめた資料が送られました。特定薬剤管理指導加算1、乳幼児服薬指導加算、重複相互作用等防止加算、かかりつけ薬剤師指導料等々、一つ一つの加算に対して、指導のポイントと薬歴記載の注意点がまとめられております。正しい指導をしていても薬歴の記載がいい加減であればそれは保険薬剤師として正しい仕事として完結しておりません。テクニックではなく、本当に患者のためになる仕事をするための資料として利用して頂きたいと思います。
◆ポスター発表
今回の会議の学術発表として用意していたポスター発表のうち、現在の業務に直結する下記の3テーマを各店に発信いたしました。どれも多忙な業務の中時間を割いて作成したとは思えない充実した内容となっています。是非とも業務に生かしていただければと思います。
演題1:トレーシングレポートについて(コスモ・大塩・平野)
演題2:吸入指導について(南浦和・北園)
演題3:ハイリスク指導への取組み(東浦和・堀内)
以上が今回4月に実施する予定でした社内研修に関する内容となります。忙しい中資料作成にご協力くださいました担当者の方々ありがとうございました。また、コロナ感染拡大で先が見えない中スモールグループディスカッションに参加して下さいました店舗の方々、ご協力感謝いたします。まだまだ油断の出来ない状況は続きます。健康管理をしっかりと行い、当社を選んでくださった患者様一人一人の期待に応えられるよう頑張っていきましょう。
2020年9月5日 安全会議責任者 堀内 貴